bat & ball

ytc_17の日記

闇の密度の濃い部分

 

 七月二十六日未明に起きた「相模原事件」の経緯を少しずつメディアから伝え聞いていて、ふとある映画のことを思いだした。

 

『セブン』(Seven、劇中の表記は"Se7en")

猟奇殺人を描いた1995年公開のアメリカ映画。

監督デヴィッド・フィンチャー

 

 以下、いくつか小説版と映画版からの引用。

 

・「子供を育てるより虐待する方がやさしい。愛すること、愛情を注ぐことには大変 な労力が必要だからだ」

 

・「地下鉄で、男が話しかけてきた。寂しい男の、つまらない天気や何かの話だ。相槌を打っていたが、くだらなさに頭痛がしてきた。思わず突然、その男にゲロを吐きかけた。男は怒ったが、私は笑いが止まらなかった」

 

 そして、連続殺人を犯したジョン・ドウ(ケヴィン・スペイシー)を逮捕した後の刑事役デビッド・ミルズ(ブラッド・ピット)とのやりとり。

 

・「お前は罪もない者を殺した」

 

 このミルズの問いに、ジョン・ドウは興奮気味で捲(まく)し立てていった。

 

「罪がない? 冗談だろ。あの肥満男。満足に立つこともできず、あのまま人前に出れば、誰もが嘲笑い、食事中にあいつを見れば、食欲は消え失せる。あの弁護士など、感謝状をもらいたい。あの男は生涯をかけて、強欲に金を稼ぐために、あらゆる嘘をつき、人殺しや強姦魔を街に放してた。あの女。心が醜くて、見かけだけでしか生きられない。ヤク中など、腐った肛門愛好者だ。それに、あの性病持ちの娼婦。この腐った世の中で、誰が本気で奴らを罪のない人々だと? だが問題は、もっと普通にある人々の罪だ。我々はそれを許している。それが日常で些細なことだから、朝から晩まで許している。だが、もう許されぬ。私が見せしめをした。私のしたことを人々は考え、それを学び、そして従う・・・私は憐れみなどしない。皆、神に滅ぼされたソドムの住民と同じだ」

 

 やはりこの現代社会はどこかしらひずんでいて、それをなんとかやり繰りしながらここまで前進してきたように思う。こういう事件が起きるたびに、清算することもなく、検証することもなく、あちら側とこちら側に隔てるだけで、またもとの歯車に戻っていく。

 

 

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